プロローグ
旅行の印象は天候に左右される。2泊3日ともなれば、一週間前の週間予報がどうしても気になる。晴れ予報ならばズバリ当たりますように、もし雨予報ならばまだまだ変わる可能性がある、と自分に都合のよい方に解釈してしまう。
今回の北海道も予報は曇りがち、傘マークも見え隠れという、諸手をあげての予報では決してなかった。
旭山動物園
旭川空港で集合、ひんやりとした空気が北の国の凛とした装いを伝える。一行はマイクロバスで最初の目的地、旭山動物園に向かう。いったんは廃園を覚悟した動物園が、園長と飼育係が智恵をしぼり「見せる動物園」に施設を一新。動物の生態が間近に見える、と評判が評判を呼び、全国でもトップクラスの集客を誇る動物園になった。
見学の前に東門に併設されたレストラン、モグモグテラスで腹ごしらえ。カフェテラス形式で、出来上がった単品を指名してお皿を満たしていく。正直、味は期待していなかったが、案外の美味。やっぱり北海道はおいしいのだ。
門を通りすぎると、動物のモグモグタイムの表示板。動物は食べるときが動きが大きく、これが見どころ。時間を確認してからそれぞれが好みの檻に向かう。
オランウータンの子供連れ空中綱渡り。白熊の餌付け。手が届くまでに近づくレッサーパンダ・・・。中でも圧巻だったのはゴマフアザラシの遊泳。水槽内観覧室に透明筒があり、下から上に急スピードで上昇。入れ代わり立ち代わり繰り返し泳ぐ姿は何度見ても飽きない。
ペンギン館には水族館のようなガラスのトンネルがあり、頭上を泳ぐペンギンを見ることができる。白熊、狼園には生態が観察できるように、檻の中を頭だけ出して猛獣と同じ目線で見られるよう、ガラスの半球があって、列をなして人間が見物。動物からは次々に人の顔が代わって、さながら狼や白熊に人が眺められている感じではありました。人気のペンギンの園内行進は冬季限定とのことで、次の楽しみに持ち越しとなりました。
フラノ寶亭留
2時間弱の見学も終り、今日の宿泊地富良野に向かう。途中ガイドの長谷川さんの機転で美瑛のパッチワークの路に寄り道。紫、黄、ピンク、白、オレンジ、赤、緑がパッチワークのように色とりどりに織り成す光景は写真で有名。この時期はヒマワリの黄色と麦の緑のコラボレーション程度でしたが、雰囲気は充分味わうことができました。
夕暮れ前にフラノ寶亭留に到着。なだらかな斜面を利用した3階建ての建物は玄関が3階部分、フラットで自然を邪魔しない瀟洒な建物は、入館前から胸をときめかすものでした。全25室のこじんまりしたホテルにも関わらずスペースは充分。ロビー、レストラン、バー、多目的室などゆったりした滞在を約束する広さ。それぞれの客室もエントランスと寝室を隔てるお洒落な石張りの壁、ブラウン系でまとめたシックな寝室、ジャグジーつきのバスルームからは大きな窓を通して外の景色が眺められる。適度な大きさの客室には大人のテイストがぎっしり詰まっておりました。温泉、料理と堪能した一行は満天の星の下、深い眠りにつきました。
翌朝もいい天気、氷点下の空気がピリリと気持ちを引きしめる。十勝連峰が雲を払い我々の前に顔を出しました。
バスは山間の道路を岩見沢へ向かう。おりしも紅葉真っ盛り。緑の中に、黄色く赤く色づいた木々が朝日にあたって美しい。北海道は秋が短く紅葉の見ごろは一週間程度だという。私たちはついている。