飛騨大鍾乳洞
旅の行程ユニット2から参加されるお客様をお迎えし、またユニット1でお帰りになるお客様を高山駅までお送りし、次の目的地飛騨大鍾乳洞へ向かいます。
日本の鍾乳洞では最も高いところに位置する飛騨大鍾乳洞。
オーナーのコレクション、金塊が盗まれ、その後取り戻すことが出来て、「戻ってきた金塊」としても有名。
盗まれたときは一辺20センチほどの立方体だったものが、戻ったのは切り刻まれた7割程度。
でも私にはチリヂリに切り裂かれた金の方が美しく見えたものでした。
さて本題の鍾乳洞。
全長850メートルにわたり、鍾乳石、石筍、石柱が林立、それぞれに名前がつけられています。
洞内は暗く登りが急なので、途中から外界に出ることが出来る。最後まで到達し、外を階段で戻ると今更ながら登った高低差に驚きました。
このあとは今晩のお宿、扉温泉までまっしぐら。
3時間のバスは退屈で寝てしまうかとの思いは、全く裏切られることになりました。
バスガイド
その犯人は、そうです、ガイドの薙野さんです。
名所旧跡の説明はさておき、もっぱら車内のお客さんとの対話集会。
「お客さんが寝ないからしゃべらざるを得ない」
「ガイドが面白いから寝る暇もない」
まるで鳥と卵のようですが、とにかく車内は笑い通し。
添乗員の加山さんはお腹をよじって涙を流して、それは苦しそうに笑っていました。
バスが松本に近づくと段々桜が増えてきて、松本城のお堀は見事な満開。『春爛漫の信州』と銘打ったこの旅行も、やっと格好付けることができました。
明神館
扉温泉は美ヶ原と霧が峰の稜線に抱かれたひなびた温泉。
ここにデザイン、もてなし、料理3拍子揃った知る人ぞ知る、明神館があります。
しかしそこまでの道筋が大変、対向車が来たらすれ違えない幅員の山道を進み、市内から40分かかって到着します。
バスの中で部屋番号を知らされ、雪が降り出した中、玄関から各部屋に向かい旅装を解きました。
夕食までしばらく時間があるので、評判の高い温泉に浸かります。
いくつかある大浴場の中でも何と言っても「立ち湯」が圧巻。
風呂場が弁当箱の一辺をすっぱり切り取ったような形になっていて、脱衣所から浴場に一歩足を踏み入れると、真正面に長方形の雪景色が額縁で切り取ったように目に飛び込んでくる。
中央には外に向かって浴槽があり先端は底が深く立ち湯になっている。浴槽の縁に腕を乗せて外の景色を眺めると冷気が頭にまとわり、雪の中に放り出されたような錯覚を覚える。
この浴場には浴槽以外無駄なものは一切ない、蛇口も洗い場もない。
手前に申し訳程度にシャワーブースとミストサウナがあるのみ。白樺と渓流の織り成す光景は、一度見たら忘れられない印象となって、目に焼きつく。他に大浴場、露天風呂、寝湯などあるが、立ち湯の圧倒的な魅力にはどれもかなわない。
夕食は大広間で会席。旅行最後の夜とあって、皆さん盛り上がり、会話とお酒と料理を賑やかに堪能しました。
団体料理でも手を抜かず、一皿づつ凝った料理が出てくるのは朝も同じ。またフランス料理も定評があり、次の機会には是非洋食を試してみたいもの。
翌朝起きると外は銀世界、屋根には20センチほどの雪が積もり、まだコンコンと降り続いている。頭をよぎったのはあの山道、果たして脱出できるか。しかし朝食時の加山添乗員さんとフロントの方の説明で、心配は杞憂に終わりました。
それでもあの狭い雪道を、無事に通り過ぎた吉田運転手さんの技量には脱帽。広い道に出たときには車内に拍手が響きわたりました。
松本市内
松本市内では時計博物館を見学。
舶来品、国産の古時計のコレクション、しかもすべて現役。定時には鳩や鐘が一斉に時を報せます。美しい細工の、エレガントな動きに心安らぐ思いがしました。
そのあとは中町や松本城などを思い思いに見学し、信州名物のそばや「こばやし」へ。
そばがき、そばの実などそば尽くしの定食でお腹がふくれ、松本駅で解散となりました。
フィニッシュ
どうせ混雑で、満足に見れないだろうとの高山祭りも、存分に楽しめました。
飛騨の小京都に、世界に誇れるガラスコレクションがあることを発見しました。思いもかけない雪景色に、息を呑むほど端正な風呂場も体験しました。雪と桜を同時に楽しむ松本城も、またとない経験でした。
さまざまな貴重な思い出を残してくれた「小京都飛騨高山と春爛漫の信州を巡る旅」もお陰さまでトラブルもなく無事終了することができました。
これもご参加いただいた皆様のご協力の賜物です。誠にありがとうございました。